映画『バード』★ウイティカーの深い笑顔に引き込まれました
1988年の作品。あらすじです。↓
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD7255/story.html
サラ・ヴォーン、オスカー・ピーターソン、マイルス・デイヴィス…etc.
通じゃないのに^^、最近、ジャズばかり聴いています。
なんだか、浸らせてくれるんです。心を、チャポンッと……^^;。
『バード』は、バードと呼ばれたサックス奏者チャーリー・パーカーの物語。
(ちょっと、内容にふれます)
一言で言えば、麻薬と酒浸りで夭逝したミュージシャン、なのかもしれませんが
バードの生演奏を聴いて感激した、というイーストウッド監督が、
そんな一言で言っちゃいかん!バードの音楽を聴け!
ビバップを知らんでもいい!(と言ったかどうかは…^^;)
俺が、バードを見せてやる!と言っているようでした。
*ビバップは…うまく言えませんが^^;
今まで、ダンス用の伴奏的な演奏だったのが、演奏者が自分の演奏テクニック
を即興で聞かせたさきがけ、と言えばいいでしょうか…(汗)
年表っぽくない見せ方は、わかりにくいこともありますが^^;
その時々のバードを、印象づけてくれました。
作品に引き込んでくれたのは、なんと言っても、バード役のウイティカーです!!
カンヌ映画祭での絶賛に、納得しました。
彼の表情、特に笑顔☆が、ものすごくイイ!
いわゆる、爽やかな笑顔ですね~ではなく、深い☆
例えば、憎しみや怒りの表情は、ストレートにシンプルに
それだけを、表しているのかもしれませんが
笑顔は、嬉しいとか、楽しいとかだけじゃないんですね。
笑顔は、淋しさや、諦め、時には、怒りさえ含みながら
人の複雑な感情を、一瞬で表せるんだ、ということを
彼の笑顔を見ると、気づかされます。
笑顔は、マイナスの感情を隠そうとする仮面でありながら
人の感情の深いところは、無防備にも
表してしまうのかもしれません……。
立派な体格で、素晴らしい演奏をする男なのに
時間にルーズで、酒と麻薬に頼っている……。
決して、彼の弱さを美化・擁護するわけではありませんが
なんだか、憎めない。胃の痛みに苦しんで
「高い薬より、安いヤクのほうが、痛みを止めてくれるんだ」
あの表情で言われたら、ダメって言えない……。
人の心の弱いところに、訴えかけてくる……。
そんなバードが、終盤、テレビを観ながら、大笑いするシーンがあります。
でも、大笑いしているのに、すごく切なくなってくるのです。
それは、自分を、笑っていたのでしょうか?
痛む体を?ボロボロになった自分自身を………?
何かが崩れながら、失われて行くようでした。
笑いを残して……。
……やがて、観ているものの心に、バードに渦巻いていたものが
忍び寄っていくはずです……。
(いいなァ~、ウイティカー最高だ!!)
~投げられたシンバル~
それは、若き日のバードの演奏を、中断させたものとして登場しますが、
それは、“そんな演奏”を続けることから、彼を救うものでもありました。
ラストシーンでも、シンバルは投げられ、今度は、
バードの人生を終わらせます。
それは、今度もまた、彼を、何かから救ったのでしょうか………。
34歳で亡くなったとき、60歳ぐらいに間違えられたバード。
「演奏が終われば音楽は消えてしまい、2度と捕まえられない」
とエリック・ドルフィーは言いましたが、相反するように
全編を通じて、ジャズが流れているのが、とても心地よかった…。
(バードの音源だそうですよ!)
彼の魂というか、生き様というか、でも、そんな気負いはなくて
きっと、イーストウッド監督も、
人の倍、生きたようなチャーリー・パーカーの演奏を
作品に、捕まえておきたい気持ちで、撮ったのでしょう……。
主演のウイティカーをずっと観ていたい、という気持ちにかられながら
私には、とても素晴らしい作品でした☆
彼のサックスが、すごく聴きたくなってきます……。
聴きながら、なにか、一杯……(笑)
