1966年の作品。(ネタバレします)
国王ヘンリー8世が、カトリックの掟を破り王妃と離婚してアンと再婚するのを
是としてほしいところを、頑なに拒否し続けた大法官トーマス・モアの話でした。
トーマス・モアは、『ユートピア』の著者で、深い教養と厚い信仰心がり、
強い信念を持った方というのが私の認識でした。
『わが命つきるとも』という邦題どおり、死罪になっても自分の意思を曲げない
鉄の男でありました。
……………が、それだけでは映画でなくてもいいことですよね。
この作品の良かったところは、単に、トーマスが何をした人か、ということよりも
誰と関わって人は生きているのか、ということを見せてくれたように感じたことでした。
(特に、妻とか家族とか)
そのおかげで、トーマスさんへの私の見方が変わりました……。
以下、トーマスさんとファンの方へ、あらかじめ、ごめんなさい(>_<)。
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王に逆らってまで、命を捨ててまでの信念って何なの??と思ったのは
妻や家族・一族郎党とトーマスの関係を見たときでした。
国王の意に従えばお家は安泰なのに、あえて国王に拒否し続け、
地位を追われ、経済的に困窮し、反逆罪に問われます。
トーマスさん、信念、貫きすぎなんです………(>_<)
「どうして私(たち)は、平民にならなければならないのでしょう」
妻のセリフは、単なる愚痴ではありません。(女として身につまされました。)
現在なら、女性も職を持つことはできますが、当時の女性は、経済的な自立は、
まず無理で夫が頼りなんです。信念云々言って、生活どうしましょう。
「上司と合わないから、会社辞めてきた」
と同じようなものに思いますけども……。
トーマスさん宅の使用人も職を失って困ります。
これが会社だったらどうでしょう。
その大手会社と取引すれば、会社は安定経営なのに、社長がどうしても
その大手取引先が気に入らないからと、取引中止して、会社を潰すようなものではないかと。
《沈黙は拒否ではない》というトーマスさんの哲学的な意地もあって、
作品は、色々と、ネバった見せ所を作ってはくれますが、
やっぱり………
意地張りすぎだと思ってしまいますねェ>>>
男性が、“男としての生き様”を大切にされることは尊敬しております。
が、時に、それって邪魔になりません?それで、損してることってありませんか。
損して得とれ、とも言いますし、ですね。
(私個人的には、本人がカッコ悪…と思ってるかもしれないカッコ悪さに
むしろ、惹かれる傾向がありますね)
くれぐれも、意地を守りすぎて、大切なものを失わないようにお願いします^^;
エエかっこしいも大概にせえよと………^^;
(失礼いたしました)
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トーマス・モアさんとご家族にはお気の毒な結末にはなりましたが、
前述のとおり、単にトーマスさんの年表を追ったのではなくアカデミー主演男優賞もうなずける、
よく描写された作品だと思います。