作品について
http://cinema.pia.co.jp/title/158332/ ↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。
女子大生・花は、おおかみ男の彼と恋に落ち、卒業を待たずに子供ができる。
生まれた長女は雪。その後、長男・雨が生まれて間もなく、彼が、狼の姿で死んでしまう。
人間と狼のハーフである子供たちを、どう育てたらいいのか……
花は、彼が遺した貯金を便りに、人目につかない田舎に引っ越す。
畑仕事も、地元の人に助けられて、なんとか暮らせるようになっていくが
子供は成長とともに、悩みや迷いが、起こってくる……
狼との間に子どもを持つ、という荒唐無稽な話ですが、ファンタジーの中にも
母と子の関係には、人間にも普遍的なものを見出したくて、鑑賞しました。
それぞれに思うところはあると思いますが、私はちょっと、キビシイかもしれません……(^_^;)
(絶賛の方には申し訳ございません)
学生のうちに、狼の子供を産むことになってしまうのが、古風な私には、無計画に思ってしまうのですが
イマドキの事情なのでしょうか。それと
花は、両親との関わりがないのは、何か事情があったのでしょうか。
もし、ご健在なら、子供を安全に育てるために、協力があったほうがいいのに……と思いましたが
花が、苦労して子育てするという設定なら、仕方ありません……
前半は、元気いっぱいのお姉ちゃん・“雪”と、甘えん坊の弟・“雨”の、成長を見せていきます。
特に感じたのは、
1. 子供は、親の手の中にあっても、世間の1員であるということ
2. 自立あるいは、大人になるということ (注:キレイ事だけじゃないの…)
▼▼▼(内容にふれて雑感です)
1.について
小学校入学前は、子供は、母親の目の届く範囲の中だけに置いておけますが
入学後は、特に、世間の中に置かれていきます。
その前にも、乳児健診や予防接種など、医療サービスがあって
子供は、社会の中で育てられている、という環境にあります。
保育所などの問題では、昨今、子供は社会で育てよう、ということも言われます。
虐待が疑われれば、他人の子であっても通報して、その子を守ろうということもあります。
けれど、“雪”と“雨”は、狼の子であることがバレないように、小さいうちは、医療サービスも受けずにいました。
これは、母親としては、子供を守っているようで、実は守り切れていないという、難しい状態です。
(無国籍の娘を扱ったドラマ『息もできない夏』でも、似たようなことがありそうでした)
親子は親子であっても、親子だけでなく、社会の仕組みの中で生きている~~
自分(たち)だけの勝手なルールでは、生きていかれないんだな……と、いうことを、しみじみ感じました。
一方で、人は、人の助けを借りないとうまく生きられない、というのを
田舎の人々が見せてくれるというバランスは、良かったと思います。
2について 特に、“雨”についてです。
甘えん坊だった“雨”が、成長して、生きる道を模索する姿はいいと思うのですが
気になったことがあります。
それは、嵐のとき、母親・“花”が、忙しく雨戸を設置しているのにも関わらず、
雨は、我れ関せずで、手を貸さなかったことです。
自分は、狼が住む山のほうが、心配だからだったのかどうかはわかりませんが
もし、自分が、狼年齢での大人になったから、家を去ろうと決意していたというのなら
今まで、女手ひとつで育ててくれた母への労いの気持ちを、大人として持つべきではないのか、ということです。
大人になるとは、自立するとは、どういうことなのか……?
山に向かった“雨”を追って、“花”も山に入ったときの“花”は“雨”に
自分は、何もしてあげていないのに行ってしまうのかと、言うようなことを言います。
いやいや、何もしていないままなのは、“雨”のほうではないか?
ご飯のしたくをする母、洗濯物をたたむ母、そうじをする母……etc.
小さいときには甘えるばっかりだった“雨”。
今こそ、成長して大人になったというなら、出ていくことばかり考える前に
大人として、身近な人の手助けになることを、考えるべきなのではないかと思うのです。
(悩むのもいいが、手伝え~!(>_<))
それは、“花”にも責任はあると思います。
いわゆる人間の子供たちにしてあげられる、前述の医療サービスもですが、
本来、親として、するべきことが出来なかったのではないか、という負い目から
なんでも自分でしてあげよう、という気持ちが、強く働いてしまったかもしれません。
もっと、手伝いをさせたらいいのにな、と思っていました。
母親は、つい、自分でやってあげてしまうのですが、子供のことを思ったら
手伝いはさせたほうがいいと思います。
自立というのは、自分の力で生きていく、ということであると思いますが
だからといって、人に手を貸さないということではありません。
逆に、大人になるということは、自分のことに始末をつけられる、ということだと思いますが
それだけでは足りないと思います。
自分のことはもちろん、他の人のことに手を貸せることだと思うのです。
▼▼▼
そういうことでは、“雨”と母が、親離れ・子離れしたシーンは、唐突には見えましたが
それぞれ、成長していく過程ということでしょう。
ナレーションもしていた“雪”は、その後は、それなりにうまくやって行ってそうなので、良しとして……
個人的には、子育て・仕事で奮闘している母親を見ると、子供が手伝ったらいいのにな、と思ってしまいます。
それは、母親に楽をさせてあげてほしい、というだけでなく
それが、子供たちのためでもあるからです。
作品の観点からずれた感想かもしれませんが、雑感まで。^^;
PS: 苦しいときこそ笑顔で☆というのはいいと思います(*^_^*)
テーマ : 邦画
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