映画『砂の器』★父と子の旅~「宿命」の意味するものは重い

作品について http://cinema.pia.co.jp/title/3033/
↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。→あらすじ!
・原作: 松本清張
・今西刑事: 丹波哲郎
・和賀: 加藤剛☆
・三木巡査: 緒形拳
加藤剛さん目当てに、いつか鑑賞したいと思いつつ
やっと鑑賞できました!
“砂の器”とは、満たされる前に、サーッと崩れ去りそうなイメージですが
劇中、少年が、水でこねた砂を器に見立て、並べていた姿は
家族での団らんを、思い描いていたのでしょうか…….
始まりは、東京:蒲田で発見された、男性の遺体。
殺人事件の捜査を、今西刑事らが進めていく。
犯人さがしミステリーの面白さと、
あちこちと旅することになる
今西=丹波さんが、刑事然としていて
引き込まれていきます♪
やがて、善人と慕われた三木元巡査が、被害者だとわかる。
彼は、昔、旅の父子の面倒もよく見た、とも聞いた今西は
その父子のことを調べる――
丹波さんが、かた結びの糸を、ず――っと、
優しく、ときほどいていったようでした。
終盤の、今西の“捜査説明“と、”その当時”の描写、
そして今、同時進行の演奏会―
3つのシーンには、説得されながら、動揺し、情動の波に
打たれながら、涙があふれました……
▼~▼ ネタバレして雑談です。
▼▼▼
1.旅の父子のこと
その父子が、放浪の旅人になってしまったのは
父が、ハンセン氏病に罹ったからでした。
病気の偏見は強く、母は家を出、父子は村を追われました。
・参考→コチラ
うつされたくないという自己保身は、(誰にでもあるとして)
罪のない人を、心身ともに傷つけ、
優しさの手も、差し出せないとは…orz
そんなときに出逢った三木巡査は、二人に、よくしてくれました。
2.三木巡査のこと
三木は、子供に病気をうつさないように、と父を諭し
父を、療養所に入所させたあと
子供(ヒデオ)の面倒も、看てくれた。(奥さんもイイ人!(^^)/)
三木=緒形拳さんの、まっすぐで実直な人間味が、心に響く。
ヒデオが、家出したとき
「ヒデオ~ヒデオ~」と探し回った三木の姿にも、深い愛情を感じる。
ヒデオも、蔭で聞きながら、熱いものを感じたはずだと思うけれど……
3.『宿命』 ←和賀作曲の交響曲(ピアノ協奏曲?) ▽要反転▽
ヒデオは、そんなこんなで、人気の作曲家:和賀になっていた。
彼は、戦後のドサクサで、別人になり
今は、政治家の令嬢と婚約中で、順風満帆。
(剛さんの出番が少なく、うさん臭さ漂う前半…)
そんなある日、隠居し、悠々自適の三木が
和賀=ヒデオの消息を知り、ヒデオに、逢いに来たことがわかる。
療養所の父と長く文通していた三木は、父が息子に逢いたがっていることを
ヒデオに伝えたらしい。
しかし、過去の自分を捨て、和賀として生きてきたヒデオは
“昔”を知る三木を、殺してしまったらしい…………
イイ人だったのに…….orz
ヒデオが名付けた曲:『宿命』の意味するものは、重い。
人は誰もが、“運命”から逃れられない“呪縛”を、背尾っていることを
彼自身は、痛いほどわかっている。
それが彼を苦しめ、抗えないものなら、“業“と言ってもいい。
一方、“しがらみ“は、悪いことばかりでなく
彼は、ずっと別れたままの父のことを
忘れようはずは、なかったと思う。いや
逢えるなら、逢いたいに決まっている。
自分が立派になればこそ、この姿に喜んで、安心させたいはずだ……
だが、どんなにイイ人でも、三木は他人。関与してくれなくていい。
二人の間にある“コト“を、知られたくない…..
だからと言って、殺人という非情な手段は、あんまりですが
それだけ深すぎる闇を抱えていた、ということか……
前半、和賀から感じた“うさん臭さ”が、“闇の匂い”だったのか…
さて、今西刑事が、父に逢い、成人した“息子“の写真を見せたときも、いい。
父は、驚きと喜びの表情を、一瞬、見せながらも
「知らない」と言うのだ。
ここでも、父は、子供との間にあるコトに、第三者を入れなかった。
父が、どんな気持ちで、そう言ったのか――胸が、張り裂けそうになる……
誰にも知られまいとする『宿命』をも、背負ってしまった父子の哀しみが
和賀の音楽の響きとなって、私の心を、揺らしていった。
和賀は、その『宿命』の曲の中で、父と逢っているー
との今西刑事の言葉には、救われる想いもするが……..
▽▽▽
▼▼▼
東北~山陰~など、広く移動する、今西刑事の旅にも
哀しい父子の過去の旅にも、引き込まれつつ
最後は、真実と感情がぶつかり、すべてを包み、高まった演奏に
涙が、溢れました…….
見ごたえのある必見の作品でした!
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