映画『心の旅路』★愛と記憶と….。

作品について http://cinema.pia.co.jp/title/3169/
あらすじ、クレジットはこちらを参照してください。
(ネタバレしています)
行方不明になった人が見つかった。
しかし、記憶をなくしている。
私が誰かは勿論、私との想い出も…。
ポーラとスミシイ。
二人は、かつて夫婦だった。
しかし、ある日出かけたまま、夫スミシイは戻らなかった。
彼は事故に遭い、古い記憶が戻り、
さらに、過去の我が家に帰ってしまったのだった。
そんな彼を見つけたポーラは、正体を隠し
彼の秘書に雇われ、求婚される。
二人は再び、夫婦になるが、かつてのような関係ではない。
形だけの夫婦なのだ。
そのとき、スミシイは、少なくとも秘書として
有能なポーラに好意を抱き、妻としたにも関わらず、
かつて抱いたほどの彼女への愛情は、
本当になかったのかが気になるところだ。
記憶とは、名前や境遇を忘れるだけでなく、
“人へ向けられた想い”までも忘れるどころか消し去ってしまうのか、と。
ポーラは、待った。
ただひたすら、スミシイが思い出してくれることを。
目の前の自分が“本当の”妻であることを。
自分を愛していたことを。
彼女が、自分が妻であったことを言わなかったのは、わかるような気がする。
言えば、事実を知ることはできるだろう。
しかし、彼が彼女を愛していたと言う想いまでを蘇らせる事は、
事実の認識だけでは難しい。
彼自身の中にあることだからだ。
だから、鑑賞者も、祈りながら観ている。
スミシイよ、どうか思い出してほしい。
彼女との思い出も、愛情も、何もかも、すべて….。
スミシイの上着のポケットの中に残された鍵が、
“その家”まで導いた。
二人がかつて住んでいた場所。
門からドアまでゆっくり歩むスミシイの背中が、語っている。
ここを自分は知っている…。
ここは……。
そして、鍵を回し、ドアを開けた。
「スミシイ…」
ポーラは、後ろから、昔の彼の名を呼んだ。
そして、彼の振り向く早さが忘れられない!
1度に蘇った彼の記憶が、そうさせた。
部屋の中に足を踏み入れるのではなく、
後ろで自分を呼ぶ女性が、誰なのかわかった彼は、すぐさま振り返った!
そして、ポーラを思い切り抱きしめた。
もう、記憶と一緒に逃げないように、捕まえるように…。
目の前にいても、記憶がなければ、
その人を想う気持ちは、0から始まる。
かつてのように、想いが満ちるのを待つのは、辛い。
けれど 人の心は深い。
忘れていても、大切なものは失ってはいない。
記憶の奥にある大切なものは、
それを開ける鍵が、きっとあるのだ。
何度見ても、涙がこぼれてしまうラストシーンは、最高の感動です!

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