映画『旅情』(1955)★ベネチアの旅情に誘われる幻惑の恋……

作品についてhttp://cinema.pia.co.jp/title/3958/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。
http://movie.goo.ne.jp/movies/p13642/story.html
↑詳しいあらすじ(ネタバレ)です。
秘書をしている独身のアメリカ人女性ジェーンが、一人旅をして
イタリアのベネチアで、地元の男性と知り合って、親しくなる……
ジェーンは38歳と言う設定ですが、48歳頃のキャサリン・ヘプバーンは、毅然として美しく
年齢を重ねた分、ジェーンが抱く恋心に、ハクが着いた印象です。
と言うのも、
ジェーンの“恋心”の描写が、とてもイイ☆
どうイイかと言いますと、“恋心“という言い方は、オブラートに包んだ言い方でして
年齢の行った彼女が抱く“恋心”は、当然ながら、
小娘乙女ちゃんが抱く“恋心”とは、似て非なるもので
節度を心得ながらも、小娘乙女ちゃんのよりも、ドロっとしたものも含む“恋心”だからです……
(一言で言えば、オバサンは恋心にもふてぶてしい生々しさがある、と申しましょうか…^^;)
男っぽさのある美女キャサリンの熟女ぶりが、生かされています☆
。・゜☆・゜・ 。 ・゜・☆。・゜。・。。・
恋のお話は、あとにして、その前に、ベネチアのこと。
原題『SUMMER TIME』に対し、邦題『旅情』は、とても素敵♪
確かに、“ひと夏の経験”ではありますが
“サマータイム”では、ちょっと味気ない。
全篇、ベネチアのあちらこちらを映しているので、ベネチアに滞在しているような気持ちに☆
(観光客として行く)ベネチアは最高です♪
1度だけ行きましたが、その 素敵な空気に包まれてしまう……
ジェーンが、この素敵な街で、素敵な男性との出逢いがあったらいいな……などと
乙女チックに思うとしても、ムリはありません……
旅は、日常の自分とは別の、あるいは、心の底の本当の自分を、引き出してしまうのかもしれません。
(旅の恥はかき捨て、ではありませんが^^;)
それを、ひとときの“気の迷い”などでなく、ベネチアが誘い出した“旅情”なのだと
美しくも上品に昇華させている邦題は、素晴らしいと思います。
観ようと思いますもん(*^_^*)
さて、ベネチアに行ったら、お土産に何を買いますか?
水浸しになってしまう“アクアアルタ”のニュースも、聞かれますが
冠水の写真が、絵ハガキになって売ってたのを見ました。(゜_゜>)
地元では慣れっこなんだそうですが、たくましさを感じます。
私は、お土産には、“ベネチアングラス“と決めていました。
赤のベネチアングラスと、ネックレスを購入しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/yutake2415/40242567.html
ジェーンが出逢ったのは、骨董のベネチアングラスを販売していたお店のオーナー・レナートでした。
ベネチアングラスがらみの縁、というのも、ベネチア旅情です。(*^_^*)
待ち合わせは、サン・マルコ広場。
ゴンドラで、デートする恋人たちの姿も…
作品は、どこもかしこも、ベネチア、ベネチア、グラッチェ、グラッチェ……
(あ、ジェーンは、運河にも落ちちゃいました……(>_<))
。・゜☆・゜・ 。 ・゜・☆。・゜。・。。・
恋心のシーンは、1つ1つ良かった……
広場での、ジェーンの視線。
2人の娘が連れ立って歩いたあとを、若い男性2人が足早に追うようなシーン。
きっとナンパだわ、とジェーンは思ったかも。
彼女たちは若いし、2人連れだから、その先、話が進みやすいかもしれないけど、
自分は1人だし、お姉さんだから、そんな出逢いは無いのかな……
若者のスムーズそうな経過に、ちょっとやっかみながら、自分の状況にがっかりしたかも。
それが、ひしひし伝わってくるのが、とてもイイ☆
そして、彼女の、赤いミュールの足元を見つめる、ひとりの中年紳士(レナート)。
ジェーンの背景に過ぎないと思われた中から、
さりげなく、彼にカメラを映していく……これも、イイ☆
中年女性に中年男性☆
なんて丁度いいの!と勝手に、幸せ予想図を、頭に描く私。(*^_^*)。
旅先の恋というだけの簡単な話であったとしても
ベネチアという街が、十分、フォローしてくれるヮ………と思いながら……
そして、そのイタリア男性・レナートは、その後、積極的に、ジェーンにアプローチしてくるのですが……
積極的なのは、イイと言えばイイし、困ると言えば困る……
ジェーンの“恋心”は、レナートの接近を、嬉しくないはずはないのですが
そうですか、と簡単に、ボーダーラインを越えていいわけでもないのです。
お姉さんには、それなりの自制心とプライドがあります。
どんなに空腹でも、目の前に食料があるからといって、なりふり構わず、食らいつくなんてことは
致しません。(下品な言い方なら申し訳ございません)
しかし、レナートは言います。
「空腹なら、目の前のラビオリを食べるべきで、ステーキを待つな」と。
確かに、お姉さんというハクが着いたジェーンの
“恋のハンティング“を思わせる香りは、濃い脂粉のごとく、プンプン匂っています。
(だから、38歳でない48歳のキャサリンがベストなんです!!!)
でも、レナートに失望ですね……
空腹ならって、それを言っちゃあ、お終いよ……
「私、飢えてなんていないわ!(怒)」
武士は食わねど高楊枝、と言いますが、熟女にも熟女のプライドがあるのです!
けれど、誘惑という、恋の吸引力には、勝てなかったりもする……
だって、本当は好きなんだもの、彼のことが…….(照)
。・゜☆・゜・ 。 ・゜・☆。・゜。・。。・
旅が永遠でないように、恋もまた、永遠ではありません……
別居中とはいえ、レナートは妻帯者でした……orz
旅の恋は、やはり、ひとときの戯れなのでしょうか……>>(ため息)
でも、恋心は、ずっと、胸にとどめておきたいもの……
二人の想い出は、白いくちなしの花に……
それが、もう一度、ラストシーンに、切なくも美しい花を開かせる。
駅に、見送りに来ないレナート。
ゆっくりと、動き出す列車。
ジェーンが諦めたそのときに、ホームを走る男性が!
レナートが、窓から手を伸ばすジェーンに、プレゼントを渡したくても、届かない、渡せない……
ああ、これで、二人のコトは本当に終わってしまう!!
……と、レナートが手にしていたのは、白いくちなしの花。
もう、想いをつなぐことは出来ないけれど、それは、二人の楽しい想い出を知る花。
レナートの想いに応えるように、窓から大きく見を乗り出して、手をふるジェーン。
そう、あれは、さようならではないのですね。
あなたの愛に応えたかった気持ちなんです…….
“オールドミスのゆきずりの恋”などと言われますが
ゆきずりは結果であって、恋心は、いつでも本物。
ラストシーンは、そう言っているように思えました……
やはり、邦題『旅情』は、余韻にまで、効いてきます。
ベネチアに来れば、こんな出逢いが待っているのでは☆と思いそう……
つくづく、ベネチアの旅情が生かされた作品だと思います。

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