映画『きいろいゾウ』★ツマとムコの若夫婦の危機と解決~普遍的に

作品について http://cinema.pia.co.jp/title/160805/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。
宮崎あおいさん&向井理さん演じる、ツマとムコという、若夫婦の物語。
心臓病で、活動制限のあった子供の頃、
夢の中で、満月の夜に黄色いゾウに乗って、世界を旅したというツマは
満月が近づくと、体調が悪くなるという。
満月の夜にプロポーズされて、お互いをよく知らないまま結婚した二人。
ツマとムコと呼び合うのは、それぞれの名前から、ということだそうですが
ツマ&ムコという、普遍的な夫婦の物語として、受け止めることもできそうです。
(以下、雑感です)
田舎の、昔ながらの広い家に暮らし、農作物を育て、土に触れる生活。
動植物の声が聞こえるというツマと
優しくおだやかなムコ。
まるで、ままごとのような、微笑ましい、ポエムのような暮らし。
お互いをよく知らないまま結婚した二人、と言いましたが
大抵、そうなのかもしれません。
じっくり5年10年つきあって結婚したとしても、その後、20年かけて初めて知ることもあります。
知る・知らないでなく、若い時の恋心は、お互いの心の表面に、ほんのり、イイ焼き色がついたときには
もう、成立しています。
けれど、段々に、表面でなく、中まで火が通るか通らないかを、感じてきます。
相手の中まで、自分の火が通っているのか……
相手は、自分に、温かい炎を向けてくれているのかと……
結婚生活・夫婦生活は、表面にほんのり焼き色がつくだけでは、やっていけません……
生煮えだと感じても、見過ごさざる得ないこともあります。
お互いの肌の温もりを確かめ合ったとしても、表面的な営みということだってある………?
ある日、1枚の手紙がムコに届き
ツマは、自分の知らないムコがいる(いた)ことに、気づきます。
しかも、ムコには、背中に、鳥の刺青まである……
大好きな人だから、すべてすべて知っておきたいのも、愛情。
大好きだ人だから、憎さ百倍になって、傷つけてしまうのも、愛が強すぎるから……
(純粋なツマがそこまで!と思うけど、純粋な人ほど残酷さもまっすぐなのかも、と思う)
↑このシーン、宮崎あおいさんで正解だと思った(*^_^*)
それは、まるで、月の裏側。
見えない部分がある。
表にどんなにハートの焼き色をつけても、裏側は見えない……
それは、何年たっても、わからなくて理解できなくて、受け入れられない部分が
あることなのかもしれません。
たとえば、ミロを豆腐にかけることに慣れないのに、似てる………?^^;
「妻を、愛しているんです」
別の夫婦の苦悩のエピソードで
哀しくもひょうひょうと、夫・リリー・フランキーが言う、そんな普遍的な言葉が
めぐりめぐって、還ってくる。
自分の知らない過去が、あなたを捕え続けていて
それを癒せるほどの力が、自分には無いかもしれなくても
私は、あなたを愛しているのだという事実は、まぎれもない………
満月に不安なツマに、ムコが言った
「月は欠けていくから、大丈夫ですよ。」
私は、ここで、目頭が熱くなってしまった…………..
不確実で、なんだかわからなくても
“大丈夫ですよ“と、慰めを言ってくれることに、今、自分自身が、すごく弱くて………
ということがあるから、余計に、あのシーンが浸みてしまったのですが……
あのとき、自分に、“大丈夫”と言ってくれたムコに
ツマは、この人を信じて、この先、ついていこうと決めたのだと思うのです。
(現実的には単純すぎるかもですが^^;)
水道の蛇口をひねるように、ジャージャー、過去のすべてを私に流して!!
と、力まなくていいんですね、きっと。
これは、若夫婦の物語。
多分、最初の危機を、乗り越えた、メデタシの物語。
でも、このあとも、山あり谷ありの夫婦の物語は続くのが、ゲンジツ。
そんなときは、また、きいろいゾウに来てもらいましょう☆

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