映画『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』★ため息のようにジンワリくる“チキンとプラム煮”の香り


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作品についてhttp://cinema.pia.co.jp/title/157811/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。


大切なバイオリンを壊されたバイオリニスト:ナセル・アリは、
思う音を出せるバイオリンが手に入らず絶望し、自殺します。

その前、8日間に、彼の人生に何があったのかを
ロマンチックに、かつ ファンタジックに、見せてくれました。


これは、
1、 若い日に、叶わなかった恋を抱える男の物語   であり
2、 芸術家・バイオリニストとしての生き方の物語   でもあるのですが
3、 彼の妻の哀しみ   にも触れないわけにはいきません。

以下、ネタバレ雑感です。



▼▼▼



ナセルの師匠が、言います。
技術で音を出すのではなく、“ため息”をつかまえてこそ、芸術の音が出せると。

哀しみが人を詩人にさせる と言いますが、
彼が、名バイオリニストであったのは、愛する人との別れの痛手を抱えていたから。
キレイに忘れて立ち直っていたら、そうは行かなかった。

この、忘れらない想いをひきずる気持ちは、とてもとても、わかります……………..
若いからと言って、次の恋があるわけではありません。
1度、この人!と決めたら、どんな理屈をつけても、何にも代えがたいものです。
恋をひきずることは、痛いけれど、やめられない……

この情熱的な苦しみが、全編にわたり、甘くつらく、流れています。


そんな“芸術家”の妻になったのは、彼を愛していた、別の女性。
芸術家の妻も、色々大変なんだろうな、と思います……
(例:『マーラー』)



しかも、彼は、妻を1度も愛さなかった!と、本人に、言ってしまいます……
それは言い過ぎだろう、と思いますが
忘れられない人を思い続けるという、美しい愛の心の後ろには
残酷な影が、伸びているということでもある……

元恋人も、彼と別れたことを悲しんできたと思われるシーンには、涙を誘われますが、
彼女も、そんな状態で、他の人との結婚生活を営んできたという現実もある……

今、目の前にいる人にだけ、愛する想いを向けられていたら
どんなに幸せなことか……………..

愛しているから、哀しくて
愛しているから、腹も立つ……

バイオリンは、夫から愛されていないと告げられた妻が、壊しました。

妻は、それでも夫を愛しているから、死にたがっている夫と仲直りしたくて
夫の好物の“チキンのプラム煮”を作ったのです。

私は、この作品の“忘れられない恋物語”も、確かに切なくてステキだと思いますが
それは、むしろ、妻が愛されない、気の毒な理由に過ぎないようにも思え
一見、パサパサした感じの妻が、愛されていなくても、夫のために好物を作ってあげた――
その愛情に、泣けてくるのです。


▼▼▼


そして、この作品は、時間軸を、絶妙に動かしているので
恋人たちの忘れられない切なさも、
妻の報われない健気さも、あとから、ジワジワくるのがニクイところ。

どうして、「チキンのプラム煮」がタイトルなのか、
あとから、じんわりと、感じてきました。

“ため息”のように……….







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