映画『マリー・アントワネットに別れをつげて』★ “ダリアの刺繍”にもさようなら

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作品についてhttp://cinema.pia.co.jp/title/160553/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。



1789年7月14日の朝から始まる。
それは、パリのバスティーユ監獄が陥落し、フランス革命の勃発した日。
パリから離れた、ベルサイユ宮殿にいる国王と貴族にも
王や貴族の名が書かれた、処刑者リストが出回る。
王妃マリー・アントワネットは、お気に入りのポリニャック夫人を国外に脱出させるべく
自分に忠義な朗読係シドニーを、その影武者に仕立て上げる……

……という、わずか3日ほどの物語ですが……

ベルサイユ宮殿でのロケには、やはり、それなりの風格が伝わってきます。
数日間という短いスパンでの、己の命運がかかった、それぞれの緊張感の描写には
それが、ここで実際にあったことなんだな……と、しみじみ思わせてくれます。
(ベルサイユ宮殿に住んでいる貴族たちは、まるで、寮生活のような……^^;)

以下、内容にふれて雑感です。


▼▼▼

まず 仲良しの女友達  という存在について。
王妃の、ポリニャックへの異常なほどのご執心ぶりは、
14歳からずっと故国を離れていた王妃が、
心許せる友と呼べる人をつかまえて放したくない、という想いだったと思います。
他の夫人が「宮廷に友なんていない」と言いますが、宮廷が“孤独な場所”だと、暗示しています。

(ダイアン・クルーガーが王妃を演じていますが、
美しい華やかさもあり、寂しさもあり、押しの強そうな気まぐれな感じもあって 適役でした(*^_^*))

そして、
詳細は不明ですが、朗読係の乙女シドニーは 憧れと忠誠心をもって、王妃に仕えています。

この忠誠心は、仕事上の責任以上のもので たとえ火の中水の中、のような感情のようでした。

たとえば、イヤイヤ行進しているような兵隊たちは
命令されれば、そのとおりに動くのでしょうが
ひとたび、革命騒ぎになれば、主君のことは知ったこっちゃないんだろうな~と
思わせるものがあります。

そうかと思えば、革命騒ぎがあって
(ソレどころではないだろう~とは思うのですが)
王妃のための“刺繍”のことを、すごく気にかけている夫人もいます。
何があろうと、責任の範囲を務めるのは、家臣の務めなのでしょう。

シドニーの王妃への忠心は、家臣の鑑、と言うべきものなのでしょうが
それだけの気持ちを、王妃に向けていた理由は何か?

シドニーは、王妃に取り入って出世しようと言う野心は、なさそうでした。
彼女も、孤独から救われたい気持ちなのかと。

シドニーにも、同僚の女友達はいましたが 彼女たちは、結局は、彼氏を優先しますよね…
シドニーにも、彼氏がいたら、価値観は変わったのか……
(気になる男性も現れますが、まさに、革命のドサクサで、愛し合う間もありません……)

憧れていた王妃に、主従の関係で、誠意を向ければ
王妃も、自分に、信頼を返してくれるのではないか
それが、強固な絆になって、孤独の自分を救ってくれるのではないかと。

けれど、ここでの残酷性は
敬愛する王妃に、自分への忠心があるなら、
大切なポリニャックの命を守るために“身代わり”になれと言われるだけではありません!!!

その同じシーンで、王妃は、 “ダリアの刺繍”を上手に仕上げたお針子に、褒美を出します。
それは、実は、シドニーが、不在のお針子の“身代わり”に仕上げたものですが、王妃はそれを知りません。

“身代わり”の自分(お針子)への褒美(賞賛)はあっても受け取れないどころか
今、存在する自分は、敬意もないまま、捨て駒にされる…………
なんという皮肉でしょう……orz

“ダリアの刺繍“のエピソードが、より一層、シドニーの立場を複雑にさせ
自分というものの虚しさを、際立たせるものでした……

かくして、エピローグ。
ポリニャックとして、国外に出たシドニーは
自分は、もはや何モノでもない……との嘆息を残して終わります。


▼▼▼


激動の歴史の1場面にあっては、
名も無き者の存在は、かくもはかなく扱われてしまうのか……という虚無感が
もう1つの、名も無き者の存在との対比で、より愕然とさせられました…

唯一の救いは、ポリニャックの一行は、国外に脱出できたという事実。
シドニーも命あってのモノダネで、生き抜いててほしいと思いました。







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