映画『浮雲』(1955)★そんな結末にも愛の成就を感じる輝きがたまらない

作品についてhttp://cinema.pia.co.jp/title/11309/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%AE%E9%9B%B2_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
↑あらすじはこちらも参照ください。 (画像もこちらからお借りいたしました)
高峰秀子:ゆき子
森雅之:富岡
これは、どこかでは話しましたが、ここでは話していませんでした。
一言で言えば、1度は愛し合ったのに、その後ずっと煮え切らない男を
追って追って、追い続けた女の物語です。
特に、結末が、私にはとても重要で、と言うか
この結末だからこそ!この作品に想いが残ります。
かぶるところもあると思いますが、記憶をたどりながら
以下、結末コミで、雑感です。
▼▼▼
内容は、あらすじどおりで、男・富岡への想い一途に
振り回され、ダマされ、気にもとめられず、そのくせ
気をもたせるそうな素振りをしたかと思えば
気持ちを引き寄せておいて、突き放す…….
どうして、そんな男を、好きになってしまうのでしょうね……
どうして、そんな男を、諦められないのでしょうね……
どうして、そんな男から、愛されたいと思ってしまうのでしょうね……
この、ゆき子と言う女は、自分から不幸になりにいって
なんて愚かな女なんだろう、と思うと思うのです。
けれど、この、恋愛に愚かなゆき子と言う女は、自分自身なんです…….
いつも、するりとかわして、定まらない男を追いかけて
たとえ、いっとき、捕まえたとしても、関係は長く続かない……
一緒になっても、この人が、自分を幸せにしないことはわかってる…
この腹立たしくも、煮え切らない男:富岡を演じた森雅之さんが、適役なんですよ。
いかにもな、単純明快な悪人ヅラの男なら、恋愛劇が成り立たないのですが^^;
ヤサ男風情なもんだから、その、ちょっと弱さを感じさせる部分に
人としての優しさを期待してしまいそうな、心のスキを与える、ズルさがあるんですね。
一方、ゆき子を演じた高峰さんには、華があるだけでなく
芯のある、強い美しさがあります。
この強さが、愛することに負けない強さを感じさせてくれるのが、心強い。
だって、ゆき子の人生は壮絶です…
ただ、富岡を追いかけるだけでなく、色々、あるんです……
存在のはかなげな女なら、薄幸の印象が強すぎてしまいそう…
高峰さんだから、薄幸・逆境に打ち勝って、愛する強さを、エンディングまで
引っ張っていってくれるのだと思います。
そして、二人の末路は……
ここまで、散々、不幸の嵐を吹かせてきたんだから
せめて、最後は、最期くらいは……と思うのですが……
ゆき子は、最期まで、富岡を追い続けて、追いつけずに、亡くなってしまいます……orz
だけれども!!!!
このラストは、絶品だ!!(要反転↓)
富岡への想いを成就できず、亡骸となったゆき子に
富岡が、死化粧を、ほどこしてやるんです。
特に、口紅をさしてあげたシーンで、私は、胸がいっぱいになりました………………………………….
その気があるなら、生きているうちに、なんとかしてほしかったと思う。
ゆき子は、自分の想いはついに届かなかったと無念の想いで、息をひきとったと思う。
でも、愛し抜いた富岡が、たとえ亡骸であっても
この唇に、紅をさしてくれたのなら、
私がゆき子なら、それは、くちづけに値するものとして、受け止めたいです。
それがあるから、ゆき子の愛情はまっとうできたのだ、と信じることができました。
▼▼▼
忘れらない人がいて、
その人を追いかけても、幸せにはならないことがわかっていても
追いかけずにはいられない……
結局、愛の実りなき、可哀そうな女かもしれないけれど
そんな中でも、ほんのわずかでも、愛の成就の瞬間があったと感じた……
この作品は、その輝きがたまらないのです。

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