映画『欲望という名の電車』★虚栄の愚かさだけでは割り切れない思いが残る




映画は、1951年の作品。テネシー・ウイリアムズ作。

身を持ち崩して家を失ったブランチは、
”欲望”という名の電車に乗って、
貧しい妹夫婦の元へ転がり込んだ…。


映画でも、本でも、作品を見るときに本当に意図するものは何なのか、と考えると思う。
共感したり、反感を持ったりしながら、教訓を得ることもあるし、この作品の主旨はこうです、と言いきれない作品もある。思い切った断定を避けて、感じるだけにしたほうが無難な作品もあるだろう。
たとえば、“この作品の主旨はブランチの虚栄の愚かさです”と言うのが本質だとしても、
それだけでは割り切れない思いがした。

以下、思うところです。(内容にふれます)


あらすじの参考に
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%B2%E6%9C%9B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E5%90%8D%E3%81%AE%E9%9B%BB%E8%BB%8A_(%E6%98%A0%E7%94%BB)




①ブランチのお気取り

自分がボロボロになって惨めな気持ちになったとき、そのままボロ雑巾になって
自暴自棄になろうと思うときと、粉々に崩れそうな自分を壊れないように固めるつもりで、
しっかりメイクをして、いい服を着て、アクセサリーを着けたりするときがある。

ブランチは、家もお金も夫も、何もかも失っていた。
貧乏な妹夫婦の居候らしく分相応に振舞え、何、気取ってるんだ、と思われるのも、
人の自然な気持ちなのだろう。取り繕わないでボロボロになってしまえ、と。
今まで上にいた人へのヤッカミの残酷さも感じさせる。

②男を渡り歩いたブランチ

愛を失った淋しい女が男を漁っていた、と言うのは、はしたないと言えばはしたないのだろう。
しかし、無一文の女が生きていく手段だとしたら、蔑むよりもむしろ不憫に思う。
それが暴露されたブランチは、再婚の機会を逃してしまう。
汚れたという烙印を押された女は、再び、具体的な幸せを手に入れてはいけないのか。
①と合わせると、中身が汚いくせに外見だけ気取って、何も知らない男を欺くのか、
と人の蔑みが増すのが情けない。

この辺りを、例えば宮尾登美子さんが描写したならば、虚栄よりも“哀歓”が
滲むように思う。


③妹の夫をバカにしたブランチ

ブランチも誰も、誰かを下に見ることで自分の優位性を確かめたい心理が働くのかもしれない。
良くないことだけれど、その行為は、ブランチの宝石と同じ役割を果たしていたと思う。
自分を少しでも立派だと思っていたいと言う…。それが、まさしく虚栄なのだけれど。


④優しさに応じるブランチ

ついに、精神の破綻をきたしてしまったブランチは、施設(病院?)に収容されることになるが
彼女は、恋人が迎えに来てバカンスを過ごすと思い込んでいる。
迎えに来た男女に、失望し錯乱したブランチだったが、紳士的な男性の対応に応じる。
「優しくしてくれる人の言うことを聞くわ」
これは、認知症の方にもあてはまると言う。
記憶や理性を失っても、優しさを求める気持ちを人は失わない。
レディらしく男性と歩くブランチには、虚栄よりも、“人間の尊厳”を感じた。


⑤妹夫婦の破局

「義姉さんが出て行ったら、俺たちは元通りだ」
そんな夫の期待も虚しく、赤ちゃんまで産んだ妹は、姉が家を出た後、
結果的に姉を心身ともに傷つけた夫から去ってしまう。
姉が来てから、夫婦の生活は変わってしまった。
いつもどおりの生活なら、いつもどおりのままなのに、違う要素が入り込んだために、
抱かなくてもいい感情も芽生えて、憎まなくていい人を憎むことにもなる。
そして、その要素が取り除かれたからといって、元に戻るとは限らない。(浮気もそうかも)


~~~~~


多分、客観的に見れば、虚栄云々、という目で、ブランチを見ることが的確なのでしょう。
しかし、ブランチの非を教訓にすることがあったとしても、
彼女を上から目線では見たくありませんでした。
誰にだって色々あって、それなりに生きていかなければならないのだから…。
彼女にもある悲しみには、心を寄せたくなりました。



また機会があれば、あれこれ思い煩ってみたい作品でした☆






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こんにちは☆
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