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映画『いつか読書する日』★“その先”を望む以上の……



作品について http://cinema.pia.co.jp/title/13092/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。


以下ヤフーレビューの転記です。(ネタバレでもない)


高梨と美奈子は、若いころ、惹かれあっていたが
お互いの親の事件から、関係を封印していた。
死期が迫った高梨の妻は、牛乳配達の美奈子に、自分の死後、
夫と一緒になってほしいと言った……。

顔を合わせる場所にいながら、想いを無表情に封じ込めている男女。
それを知っている、男の妻。

妻の遺言ともいえる申し出は、夫を愛するがゆえの寛大さとも思うが

私が美奈子なら…と思ってみた。

自分が死んだら夫と一緒になれ、とは、寛大なようで、
残酷にも聞こえた。
私(たち)が、心の奥底で、どれだけ惹かれあっているか
どれだけの想いを押し込めてきたか、
妻は知っているからこそ、言っているのだ。
自分が死んだら……とは、裏を返せば、
生きているうちは許されないことだ、と
今更されなくてもいい制御を、感じてしまったのだ。
妻も妻なりに、空虚な愛を夫に感じてきた寂しさは、
あったのだろうとは思う。
けれど、不謹慎かもしれないが、心のなかで、
黙って誰かを愛することは、
人の生き死にとは、別のところにあると思うし、
誰かの許可とも、無縁のところにあると思う。

妻が亡くなったからといって、許可を得たとか、合法的だとか
二人の関係は、そんなものではないことは、わかりきっていた。

“そのとき”の二人は、
封じ込めていたものの重さが、
長すぎた時間の重さに重なり、
お互いの皮膚と体温に包まれた、
お互いの存在という、からだの重さを、
確認しあったのだと思う。
ただ、愛の重さとして……。

ほんのひととき。
かりそめの恋のように………。

そして、
美奈子の恋は終わった、と綴られる。
「(このあとは)本でも読むわ。」

夜の寂しさに気づかぬように、
クタクタになるまで働いた美奈子の夜は、
本ですき間を埋められるらしい……。

まだまだ未来がある年頃なら、その先に、
いくらでも、夢や希望を抱きたくなるのだろう。
恋愛にも、飽くことなく、貪欲にもなるかもしれない。
けれど、閉じ込めた想いを長年引きずって、崖っぷちに来て、
落ちる寸前で、たった1度でも、成就した恋には、
“その先”を望む以上のものがある。
自分の人生のすべてを、その“たった1度”に、
注いでいるから………。

だから、“その先”は、
本を友とする、余生でもいい……。
彼も、満足の笑みを、浮かべていたではないか………………。

物語の舞台は、坂の街。
上り坂もあれば、下り坂もある。
平凡に生きようとしても、
誰にも、坂があるようだ。

私は、今、坂のどのあたりにいるのだろう……。
心乱れて、夜の読書は、
まだ、できないみたいだ………。



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