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映画『大菩薩峠』★ラストに涙が出るとは思いませんでした


映画は、「大菩薩峠」「大菩薩峠(第二部)」
「大菩薩峠(完結編)」片岡千恵蔵主演 内田吐夢監督 で観ました。

ネタばれでお話します。

(あらすじ)
原作は、中里介山の未完の長編です。
主人公は、道場の跡継ぎであった剣の達人・机竜之介。
彼は、善玉のヒーローではなく、冒頭から、巡礼の老人をいきなり斬り捨てることからも印象付けられる、非情な男です。
神社の奉納試合の対戦相手を斬り殺したため、その弟・兵馬から、仇として追われます。一方、対戦相手の内縁の妻は、手篭めにされて妻となった後、男児をもうけますが、やがて、その妻も、竜之介の手にかかって殺される運命を迎えます。
映画は、原作の終わりには至りませんが、結末は、納得できるものでした。

詳しい筋書きは、ちなみに↓を参照してください。長いので…。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%8F%A9%E8%96%A9%E5%B3%A0_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)

作品から感じたものは、人の”因縁と運命”でした。

登場人物たちが、まるで、ひとつの糸で結ばれているように、
複雑に関わりあいながら、幸と不幸が、あざなわれている様でした。
瓜二つという二役もありますが、それも、人の縁(えにし)以上の因縁というべき、
強い運命を、感じさせるものでした。
そして、運命についてですが、竜之介は、自分の手にかかって死ぬものさえ、
それが、逃れられない運命だと思っています。
(人災だと思うのですが...)
誰もが、逃れられない因縁や運命に縛られている様で、とても
やりきれない気持ちになりました。
その”やりきれなさ”が、辛くて、鑑賞を中断していた時期もありました。
しかし、流浪の末、光を失ってしまった竜之介の行く末を、
見届けたい気持ちはありました。
そして、話が進展し、終わりに近づくにつれ、その深みに引き込まれていきました

以下、思うところを述べます。(③☆ラストシーン☆が、1番大事)

①★中村竹弥のワル旗本★ 

中村さんは、「大江戸捜査網」のリーダーでは、品格を感じさせる方だったという記憶があるのですが、この作品での旗本は、悪者です。ワルというかエロというか……。
この旗本が出てくると、あと面倒なことが起こりそう、と思わせます。
ああ、か弱き女性が、きっと泣かされそう、と思うと、観るのが辛くなってしまいます。
竜之介も、困ったお侍ですが、この旗本には、男として困った人と感じます。

②★竜之介の妻・お浜と瓜二つの女★

そもそもお浜の登場が、劇的でした。
翌日の奉納試合に、内縁の夫に勝たせてほしい、と対戦相手である竜之介に頼みに来るのです。
お浜も、無理を承知で、無茶をしたのでしょう。竜之介は、旗本のような嫌らしさは感じませんが、
武士である自分(男)の剣と、女の操についてのナゾ賭けを、お浜に言ってみせます。
その言葉に、お浜は、自分の行動の甘さと、その後の人生の転落を予感したかもしれません。
お浜は、八百長を頼みに行ったことと竜之介に手篭めにされてしまったことが、
内縁の夫にバレてしまい、内縁の夫から捨てられてしまいます。
しかし、結局は、内縁の夫は、奉納試合で、竜之介に斬殺されてしまうので、
お浜は、竜之介について行くしか、生きる道がなくなるのです。
まるで殺人鬼のように人を斬る竜之介と一緒にいて、大丈夫なのか、と、
まるでライオンと同居するような恐怖すら感じていましたが、男児が生まれます。
子供がいれば、子はカスガイで、うまく行くのだろうか、などと思うのは幻想に過ぎません。
竜之介の悪行が祟ったかのように、狂乱したお浜を、竜之介は斬ってしまいます。
もう、この男は、どうしようもない、と失望しますが、瓜二つの薄倖の女が、現れることで、
物語は、また盛り上がります☆

彼女は、竜之介の悪行を知らず、自分に良くしてくれた侍、という好印象を竜之介に持ち、
むしろ、慕っていました。
しかし、彼女は、上のエロ旗本の餌食になってしまい、それを恥じて、というより、
竜之介に申し訳ないと思い、自害してしまいます。

妻の人生を狂わせた竜之介が、妻に似た女に、妻への優しさを向けていたかどうかは
わかりませんが、人の子ならば、何か、感じるものがあったからこそ、瓜二つの女には、
良い侍・良い男、というイメージを抱かせることが、できたのでしょう。
人の縁や、人の心などが、そんなことからも滲む様にうかがえるのが、
面白いところでもあります。
                                   

③★☆ラストシーン ☆★

思いもかけず、ラストシーンには、涙がこみ上げました。
虚無感や絶望感を、感じながら観ていた作品の最後で、
まさか、泣くとは思いませんでした。

兄の仇、竜之介を、大菩薩峠近くの橋に追い詰めた兵馬。
しかし、兵馬のすぐ前で、竜之介が渡っていた橋は流されていきます。
わが子の名を叫び、錯乱した竜之介は、豪雨のなか、
川に飲まれていきました。

その少し前、兵馬は、竜之介の幼な子と対面していました。
父のことも知らぬあどけない子を見て、兵馬は、わが子を抱くこともできない境遇に
落ちてしまった竜之介を哀れにさえ思い、
罪と業を重ねてきた竜之介を、“救われるべき人”とさえ思うようになっていました。
そして、その救いは、竜之介の死によってなされるものと、結論します。

話の途中までは、兵馬が仇討ちできるのかどうかを見ていましたが、
最後に来て、仇に対する救いの言葉を聞いた時、
目を開かされたような気持ちになりました。
兵馬が、竜之介を仇として斬れば、それでメデタシではなかったのだ、と。
この物語は、単なる仇討ちでは、ないのだと。

氾濫した川に竜之介が飲まれるシーンを、涙で見ていました。
神も仏もいないような、絶望に満ちたこの作品に、天や神仏を見出したとしたら、
このシーンなのでしょうか。
天は、兵馬から竜之介を離し、兵馬に殺させませんでした。
もし、兵馬が、竜之介を斬れば、今度は、兵馬が、
あの幼な子の仇になってしまうのでしょう。
この作品を渦巻いていた、悪しき因縁を1つ、これで絶つことができます。
そして、天は、罰として竜之介に死を与えつつ、同時に、
死という救いをも与えているのかもしれない、と感じました。

なぜ、涙があふれたのか、
その理由は、よくわかりません。
罪と業を重ねた男が、いとおしいわが子の名を叫びつつ、
滅ぶ姿を見ているのです。
そして、兵馬は、仇を討ち損なっているのです。
なにかに感動した、というほど美しい結末ではありません。

しかし、兵馬が竜之介を斬らずに済んで、良かったと思いました。
罰も救いも、二人の運命の果ても、天にゆだねられたような結末に
感激したのかもしれません。


未完の大作ということで、本当の結末はわかりませんが
すごいものを観たな~と、
この映画作品の結末に、納得しています。

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